2018.02.03 Dear Jobim
1月の最後の演奏は池袋のP’s Barにて。
ギタリスト須古典明さんと、クロマチックハーモニカ奏者マツモニカさんとのトリオ。
この日はまた格段に寒い月曜日だったのですが、あたたかいお客さまで賑わいました。
皆さま、お寒い週はじめの日、ご来場くださいましてありがとうございました!
今回は1/25のトン・ジョビンのお誕生日をお祝いしたく、“Dear Jobim”と題し、ジョビンの曲のみを演奏していきました。
まあ、本当になんと多くの名曲を生み出した人なんでしょう。
1回のステージでは大体12~15曲くらいを演奏するのですが、あまりに演奏したい曲が多すぎ、選曲をするのが一苦労でした。
私をブラジル音楽の世界に導いてくれたもの、それはやはりジョビンの曲たちでした。
代表作“イパネマの娘”を聴いた時の、あの不思議な感覚。
明るいとも暗いとも言えない、なんともグレイッシュな曲だなあ、と感じたものです。
今思えば、そのグレイッシュが正に“サウダーヂ”だったのでしょうね。
美しく、サウダーヂ溢れるメロディの数々にどんどん引き込まれていってしまいました。
ジョビンが生きていれば90歳。
もっともっと沢山、そして進行形の彼の曲を聴いてみたかったな。
後半、ご近所に住むギタリスト・前原孝紀さんがふらりといらしてくれました。
お客さまである前原さんをむんずと捕まえ(笑)2曲ほど共演していただきました。
これは“Luiza”を歌っているところ。
孫娘のような歳の離れたジョビンの愛娘ルイーザに向けての曲。
「愛する人、僕の愛はまだ不十分で、愛することに目覚めたばかりの初心者なんだ。
そんな心をこの雪の下に隠してしまいたい」・・・なんて情熱的で叙情的なんでしょう。
こんな歌詞を娘に贈るとは・・なんかもう、溺愛という言葉では済まされないような気がします(笑)。すごいな、ジョビン。どんな人だったんだろう。
“Chega de Saudade”, “Samba do Avião”, “Desafinado”, “Áduas de Março”….
今回、ジョビンのスタンダードを沢山演奏しましたが、スタンダード曲の演奏が
最も緊張する演奏です。
そのメロディや歌詞のキャッチーさ、圧倒的な美しさ、普遍さ故、何十年経っても
皆に愛されるスタンダードたち。
それを私がどう演奏したらいいのか、どうしたら伝わるのか・・・
という事を共演したギタリスト須古典明さんにつぶやくと
「それはね、ひとえにその曲に対する愛だよ」と。はっとする思いでした。
またこれから、曲に対する愛をもっともっと素直に表現しよう、と心新たにしました。