2017.05.04 美しさと幸せを噛みしめる時
ようやく暖かさも安定してきて春爛漫。
4月最後の演奏は、我がホームの池袋P’s Barで、これまたあたたかいミュージシャンとの共演。
大型連休の前日でしたが、沢山の方にお運びいただきました。
皆さま、有難うございました!
Fotografia por Egami-san
この暖かさ、麗らかさからの今回のテーマは“愛やら恋やらそんなこと”と“リゾート気分”。
恋サイドの曲で印象に残ってるのは“Por causa de você”(あなたのせいで)。
この日は何曲かギターを置いて、お二人の伴奏で歌ったのですが、その1曲。
“この家にはあなたが必要なの”と、今はいない、出ていってしまった誰かを想う唄なのですが、
なんとなくこの誰かさんは、時を経てふらりと戻ってきそうな気がするのです。
何だろう、メロディが優しくて、包み込むような感じがするからかな?
須古さんとmatsumonicaさんの音も、とても優しく穏やかで大きかった。
リゾートサイドからは、やはりこちらもお二人の伴奏での“Coqueiro de Itapoã”(イタポアンの椰子)。
海の男、ドリヴァル・カイーミの曲。(因みにmatsumonica氏はカイーミの歌マネが上手です。笑)
私は何故かこの曲を演奏すると、母方の祖母を思い出します。
幼い頃、土手をお散歩しながら、おんぶしてくれながら、いろんな歌を歌ってくれた祖母。
その中に、“椰子の実”という童謡がありました。
祖母の小さな歌声を聴きながら、幼心になんて切ない歌なんだろう、と感じました。
当時は“切ない”という言葉なんか知りませんでしたが、今振り返ると正にその気持ちがぴったり。
椰子繋がりからでしょうか、牧歌的なこの曲の中に、何か物悲しさ、切なさを感じてしまうのは。
サウダーヂ ヂ イタポアン・・私にとってのサウダーヂは、この祖母との想い出なんでしょうね。
このトリオでのライブは、素晴らしいお二人に数曲デュオで演奏していただいてます。
お二人のチョイスはブラジル音楽以外の曲も多く、今回はmatsumonica氏の持ってきた
“Soldiers in the rain”という曲が印象的でした。
ヘンリー・マンシーニの曲ということですが、ああなるほど、という感じ。
物悲しくも美しい和音やメロディは、彼独自の世界だなあ、と。
ほのかにヨーロッパの香りがするところとか。
須古さんの不協和音すれすれの、複雑なとびきり美しいコードの選択も素晴らしかった。
ハーモニカの繊細な音と共に、映画の世界へ入っていく様でした。
しかし、同タイトルのこの映画、どうやら1960年代のコメディらしいです。
こんなに悲しげな曲が、どうやってどのシーンに挿入されてるんだろう・・ちょっと興味あります。
このお二人の大先輩との共演、いつも楽しく、そして「やられた〜!」という気持ちになります。
喜怒哀楽のその隙間、その隙間のもっと小さなもの、そこに、すっと入ってくる音があるのです。
その音はひとつの音ながら、待ちわびていた音だ、というのが全身で分かる感じ。
出口を求めてた歌が、スムーズに流れ出るようなイメージです。
ああ、なんて美しいんだろう、やられた・・・と。
心が震えるってこういうことなんだろうな。
そんな経験をさせてくださる、偉大なるお二人に感謝。
そして、アフターが楽しいのも、このトリオならでは。
お客様と皆で歌ったり、語らったり、飲んだり。
終始笑顔が絶えないこのライブ、ミュージシャンとお客様とお店、
全てのもので、このとても素敵な時がつくられてます。
皆さま、本当にありがとう。
人生にこんな時間を持てる私は、なんて幸せ者なんだ!と噛み締めております。
また次回、皆で楽しみましょう!