2018.08.29 初レコーディング回顧録 その一
2018年8月24日、人生初のレコーディングでした。
このレコーディング計画を立て始めたのは2017年のはじめくらい。
ずーっとアルバム制作に躊躇していた私に発破をかけてくれたのは、ライブに通ってくださるファンの方でした。
アルバム制作に関しては以前から話に上ってはいたのですが、何となくうやむやにしてた矢先、
足繁くライブに通ってくださるその方が、突然会社の移動で都内から地方に転勤に。
その時に『どこでもかよこさんの演奏が聴けるよう、もういい加減アルバムを作ってください!』
と、半ばお怒り気味に(笑)そして熱意を込めておっしゃてくれました。
それまで私は、“アルバムを作る”ということは、人生の物凄い一大事で、
作るからには最高のものじゃなきゃならなくて、
その為には一心不乱に何もかもを忘れてこの制作だけに集中しなければならなくて、
あれでこれでそれでこうで・・と、壮大な目標や理想を掲げていました。
そうやって自分自身をがんじがらめにし、一歩も動けなくする。
今思い返すと、それは“だからアルバム制作なんか無理”という自分に対しての言い訳だったのでしょう。
アルバムなんて、選ばれた人のみが作れるものだと、なんかそんな風にも感じていて。
本音は自分の音楽と本当にがっぷり一対一で向き合い、直視するのが怖かったのです。
でもその時、お客さまの言葉と熱意が心に留まりました。
そっか。聴きたいと言ってくれる人だけに届ける音楽があってもいいのかもしれない、と。
それがこのアルバム制作の小さな第一歩でした。
レコーディングを決めたはいいけど、どこからどうしていいか全く分からなかった私は、
尊敬するミュージシャンでありお師匠でもある山本のりこさんにプロデュースをお願いしました。
この時の私の目標は『意図的に流される』。
頑なな自分の思考やこだわりを取っ払って、思いっきり流されよう!と決めてました。
なので、その流れに安心して心底身を委ねたい、と思えるのりこさんに依頼をしました。
のりこさんは快く引き受けてくださり、そこから一年、アルバムのコンセプト決め、選曲、
その曲たちのブラッシュアップのミーティングが始まりました。
正直、落ち込むことばかりでした。
歌のピッチ(音程)、発音、発声、解釈etc, etc,….注意されるところ、直すところだらけなのです。
今まで自分は何をやってきたんだろう、こんな自分が人前で演奏していたなんて・・・
と、反省や恥ずかしい思いで一杯。
同時に顕微鏡のような細かさと、音楽への尽きることない愛情や探究心で、ずっと真摯に
音楽に向き合ってるお師匠に、改めて畏怖の念を感じました。
本番までに慣れるため、と毎回ヘッドホンをして演奏→録音→チェック→直し→練習の繰り返し。
一音、一言疎かにしないようにと、とても細かい作業の積み重ねでした。
正に恐れていた自分自身の音楽に一対一で向き合っていく作業。
落ち込みましたし、もともと無い自信なんて更に吹っ飛んじゃったし、
もう止めたい、出来ないって何度も挫けました(笑)。
練習期間中、以前はライブで出来てた事が出来なくなる時もありました。
その度、大丈夫、これを乗り越えればきっと必ず良くなりますよ!と励ましてくれたのりこさん。
本当にそうだったと、今心の底から断言できます。ありがとうございました!
こうやって一年間、その当時は不毛とも感じるような地道な作業が続きました。(続く)