2017.04.11 2人のピアニストと2つの情景

寒さが抜けずに、なかなか来なかった今年の春。
2人のピアニストとの演奏がありました。

fotografia por KANI-san

まずは池袋P’s Barで、永見行崇さんとの演奏。
私の中で春のイメージを持つ曲や、そのものずばり、“春”というワードが入ってるものを選曲。
そうすると何故かジョビンの曲、雨にまつわる曲が多くなりました。
季節の変わり目には、やはり雨は付き物なのかな・・・
“Chovendo na roseira”(薔薇に降る雨)や“Correnteza”(流れ)に共通するのは、
雨が河となり、流れ広がっていく風景。
この先の大きな未来や人生を想像させます。
永見さんの新しいアルバム【Luz】からのオリジナル曲“A Flor das Águas”(巡り逢いの軌跡)も、
そんな流れを感じる美しい曲でした。

前半の最後に演奏した“Inútil Paisagem”(無意味な風景)、ナガミーのアレンジが素晴らしかった!
浦霞の中、まだ肌寒い薄曇りの空と海。なんの生産性も無く、その中にただ佇む人。
遠くを見つめて、何かを想っているのか空虚なのか・・
そんな私の曲への妄想を、見事に音にしてくれました。
壊れかけていくような、でもその中に一縷の光があるような、そんなギリギリの繊細さでした。
この日アンコールで演奏した、ユーミンの“卒業写真”も、とても素敵なアレンジ。
なんだか色々なことが走馬灯のように駆け巡り、歌っていて目頭が熱くなってしまいました。
沢山のお客様に囲まれ、あたたかい気持ちで演奏できました。有難うございました。

fotografia por Kepel Kimura san

もう一人のピアニスト、須藤かよさんとの演奏は西荻窪copo do diaで。
この日はご近所在住で、たまたまお店に遊びに来ていたクロマチックハーモニカ奏者
matsumonicaさんが急遽ジョイン!(手ぶらで来ていたのに、お願いしてわざわざ楽器を
取りに行っていただいたのです〜。ありがたや・・・モニカ兄さま、有難うございます!!)
豪華トリオになってお届けしました。

この日のお題は【春の物憂いと音楽と】。
私の脳はどうしても「春だぁ〜!」と喜ぶ一方で、その中の影を探すように出来てるらしく・・(笑)
楽しいサイドは、ジョビンの“Red Blouse”。最初のmatsumonicaさんのソロが圧巻だったな。
それに引き込まれるように、かよさんのソロもぐいぐいと力強くなっていって。
Joyceの“Clareana”は3人でコーラス。新しい命を愛おしむ、大好きな曲です。

日本の曲は、“黄昏のビギン”を数年ぶりに歌いました。
この曲、私の中では、舞台は春の雨の有楽町なんです。
かよさんのピアノ、強さの中に物悲しさや優しさがあって、女性的な大きさを感じました。
最後の曲は“Tempo Feliz”(幸せの時)。
幸せな時間って、あっという間に過ぎていってしまうものですよね。
まるで春や桜のように。
静かな日でしたが、それ故にじっくりと音楽と会話できたような気がします。
こちらも有難うございました。

光の中の影や、暗闇の中の光、優しさの中の狂気や悲しみの中の希望、
そういう相対するもの、捉え所のない不確かなもの、感情、情景。
それらを捕まえて表現したい、といつも思っています。とても難しいですが。